2016年8月4日木曜日

炭火焼賛歌

夏の楽しみと言えば屋外での焼肉だ。

BBQだなんて特殊機関の名前みたいに呼ぶな。焼肉と呼べ。
いや、肉以外も焼くから、ここは正しく「炭火焼」と呼べ。

最初からマシュマロを炙る気満々で炭を熾すな。まずは肉だろ。
牛も豚もいいけど、何といっても鳥だ。焼鳥だ。
いきなり牛カルビなんか焼くな、若者よ。脂に引火して一大事だ。
あたり一面煙だらけ。網も煤で真っ黒けだ。
網にじっくりと馴染ませていくなら鳥の脂だ。まずは焼鳥だ。
ポタリぽたりと脂が落ちるから、ほどよい燻煙が立ち上る。
炭火で焼いた焼鳥を手に、冷えたビールを飲まないわけにはいかない。
この組み合わせを知らない人は、人生の半分を損している。

さっと炙ったイカもやめられない。お酒はぬるめの燗でなくてもいい。
気温20度以上であれば迷わずビールだ。
貝や魚も当然焼いてよし。牛や豚も二番手以降ならどんどん焼いてよし。
羊や鹿の肉もまたうまし。味付けラムなら鉄板も用意すべし。
ジンギスカンにうどんの組み合わせはノーベル賞ものだから外せない。
野菜も見捨ててしまわない範囲でつつましく焼くべし。
恥ずかしいくらい笠の開いたシイタケも焼いて醤油をたらそう。
焼きナスも登場した日には言うことナス。嫁にも堂々と食わせよう。
トウモロコシは皮つきで焼いてしまおう。
皮が焦げまくっても大丈夫。向いたら黄色くてツヤツヤの実がこんにちは。
これが本当の焼きトウモロコシだ。
プチトマトにベーコン巻くのって誰が考えたんだ?いい仕事するじゃないか。

大勢でやるのもいいが、一人二人で穏やかにやるのもいい。
大勢でやるなら「祭り」、一人二人なら「癒し」。
私はじっくり食べるなら一人「炭火焼」だ。
みんなでやると、お世話する方にエネルギーを使ってしまう。
みんなで店に行ったり、外で炭火焼するとあまり食べずに終わってしまう。
一人でやる時は七輪がいい。少ない炭で最大限の遠赤外線。
今年は角型ワイドタイプの七輪を買った。サンマも余裕で焼ける。
中が二つに分かれているので、違う火力で焼けるのも魅力だ。

夏の楽しみ、炭火焼でのビール。果たして最高のつまみは何か?
それは、真っ赤に熾き始めた炭火だ。
これからさあ焼くぞ…という前に、じっと炭火を見る。
赤々と熾きた炭の隙間からゆらりと顔をのぞかせる炎。
1/fのゆらぎに癒されながら、一口目のビールを飲む。
ささやかな宴の開幕を告げる、静かな前奏曲のごとし。

夏休みに入り、定時退勤できる日が続いている。
気温も高く、風も穏やかな日は迷わず帰り次第、炭を熾す。
一人「炭火焼」は短い夏のひそかな楽しみだ。


追記:炭火焼好きは寒くても実は炭を熾す。
    真冬だって、その気になれば外で炭火焼する。
    ただし、その時は大勢でやる。一人ではやらない。
    みんなで勢いよく、寒さに耐えながら杯を交わす。
    その様、さながら寒修行のごとし(笑)

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